豆腐の凝固剤として「澄し粉(硫酸カルシウム)」は「にがり(塩化マグネシウム)」とともに長い歴史があります。戦前までは「にがり(塩化マグネシウム)」が豆腐用凝固剤の主流でした。しかし、先人達の努力の結果が今日の普及につながり、現在では豆腐用凝固剤として欠かせないものとなっています。

硫酸カルシウム(石膏)のルーツを調べると中国との関わりが深いことがわかっています。中国では特に南部を中心に古くから豊富な天然の石膏を使った豆腐作りがおこなわれていました。これが昭和初期に日本に持ち込まれたとされています。当時はまだ「にがり(塩化マグネシウム)」全盛の時代でしたが昭和10年頃からこれを豆腐用凝固剤として開発、普及させるための努力が始まりました。

「澄し粉」という名前は当時、これを加えると豆乳が澄んでくるという意味から名付けられました。当時の原料は使用済みの石膏型、いわゆる廃型を粉砕した「廃型石膏」と呼ばれていました。

昭和15年頃には江戸川工業所(現在の三菱化学)で蓚酸製造の副生品としてできる硫酸カルシウム(化学石膏)を「澄し粉」に利用することに着目した中島七郎(弊社前身中島商店社長・故人)が沈殿の製法を応用して、水洗・精製乾燥して製品化することに成功し、化学石膏製「澄し粉」が誕生しました。

当時はまだ陶磁器工業副生の硫酸カルシウムが多く使われていましたが、食品衛生に対する考え方が厳しくなるにつれ、安全で不純物の少ない良質の化学石膏が多く使われるようになりました。

「澄し粉」が広く使われるようになったのは戦後のことですが、昭和25年頃には急速に普及したため、様々な原料を使ったメーカーが乱立し市場が混乱した時期もありました。しかし、その後自然淘汰され、現在では良品質の商品を扱う主要各社により安定した安全な商品が供給されるようになりました。

「澄し粉」の特徴としては硫酸カルシウムが水に溶けにくいため、除々に豆乳に溶け込み、カルシウムイオンがゆっくりタンパク質と結合し凝固するためソフトで保水性のよい豆腐ができます。「澄し粉」で作られた豆腐はその保水性のよさから滑らかな舌触りで、大豆本来の味を生かした豆腐ができるという特徴があります。また作業性の面でもこの溶解速度の遅さと、使用量の許容範囲が広いことなどから、扱いやすさの点でも優れており、今日まで幅広く使われ続けています。

しかし、硫酸カルシウムの溶解速度はその結晶の質、粒度分布により大きな差があります。常に安定した品質の硫酸カルシウムを使うことが豆腐のできぐあいを大きく左右します。弊社はこの「澄し粉」の日本における草創期から共に歩み、『ダイヤ印澄し粉』として常に最高品質の「澄し粉」をお届けし続けております。